アヤナミ様が遂にベグライターを決めた。
これで仕事量が減ると喜んだり、どんな子なのか探っている最中だったりブラックホークは只今新人ベグライターに興味津々である。
ブラックホーク全員で見学に行った際、こんな子がいいよねぇなんて言い合っていたが、その希望はかなっているのだろうか。
この度アヤナミ参謀長官のベグライターとして就任したテイト=クラインの仕事ぶりを少し覗いてみようと思う。
「テイト〜遊ぼうよ!」
ちょこちょことボードゲームを持って休み時間にやってきたクロユリ中佐。
そんな可愛い見た目、でも上官に新人のテイトは。
「いいですよ。
今日は何ですか?」
「今日はねぇ、人生ゲームだよ!
僕が作ったんだぁ!」
テイトの了承ににこにこと可愛らしい微笑みでゲームを広げているクロユリ。
ぶっちゃけマスの中に書いてある指令が色々恐ろしいことになっているが、ブラックホークでそれにツッコミを入れられるのはヒュウガぐらいだろう。(しかし大概無視されるが・・・)
けれど戦闘用奴隷だった過去から遊ぶということをあまりしたことがないテイトはクロユリの持ってくるゲームにいつも興味津々で付き合ってくれるよき遊び相手だ。
今日も床に広げた大きなボードゲームの前に、二人はしゃがみ込んで楽しそうにゲームをしたのだった。
「やったぁ、僕の勝ち!」
「・・・っクロユリ中佐、強いですね。
でもっ明日は負けませんから!!」
負けず嫌いなテイトはいつも自分から明日の再戦を申し込んでくるので、クロユリだって負けていられない。
「じゃあ明日はオセロで勝負だね!」
「はい、絶対負けませんよ!」
そうお互いの勝利を告げ、明日の約束をして再び仕事へ戻ってゆく。
テイトとそんな楽しい時間を過ごしたクロユリ中佐曰く・・・
「うん、ヒュウガなんかよりずっと楽しいよv」
だそうです。
クロユリ中佐の合格は頂けた模様。
そんな中佐と新人を微笑ましく見守っているのはクロユリ中佐付きベグライターであるハルセ。
にこにこと微笑みを浮かべて敬愛する中佐と新しく参謀部に加わったテイトを眺めている。
「そろそろお茶にしましょうか?」
テイトとクロユリのゲームもひと勝負付いた所の提案に二人とも異論はなく、自らテーブルの上を片付け始める。
そんなよくできた二人を微笑ましく見ていたハルセは。
「テイト君、すみませんがクロユリ様にお茶を入れて頂けませんか?」
「え?
でも俺より・・・」
日々カツラギからお茶汲みの訓練を受けるぐらいのテイトのコーヒー。
頑張っているものの先生役のカツラギや手先の器用なハルセにはまだまだ足元にすら及ばない。
けれど、故かクロユリとコナツには大絶賛なのだ。
敬愛するクロユリが美味しいと言うのならばテイトにコーヒーを煎れてもらう他無い。
「いえ・・・私にあのコーヒーはとても煎れられません。」
だからテイト君、お願いしますと微笑まれてはテイトも断ることなどできず、ハルセの横でコーヒーを入れ始める。
その真面目な横顔にはとても好感が持てる。
きっとこのコーヒーを持っていけばクロユリも喜ぶだろうし、喜んで貰えたとテイトも嬉しそうに微笑むのだろう。
そんな事を思いながらクロユリの為に日々進化を続けるリニューアルまぐろチョコと普通のチョコレートケーキを運ぶハルセであった。
そんなクロユリ中佐付きベグライター、ハルセ曰く・・・
「クロユリ様が喜んでおられますし、テイト君が着任してくれてよかったです。」
相変わらずクロユリ至上主義なハルセだった。
「少佐ぁぁぁ!?」
ちょと目を離した隙に逃げられた、と誰もいないヒュウガの机を見て嘆くベグライターであるコナツ。
机の上には未処理の書類が山と積まれているのが見えないというのか。
怒りに震えるコナツの思わず手に持った新しい書類がぐしゃりと潰れる。
「毎日毎日人がどれだけ仕事してると思ってるんですかあの人は〜」
いらいらしながら自分のデスクに積まれた新しい書類を睨みつける。
まだまだ決裁の終わっていない書類は残っているどころか、新しい書類が増える一方なのだ。
これがいらいらしないでいられるか。
とりあえず書類の解決にはならないがサンドバッグでも殴って気分転換でもしようかと思ったコナツの傍に寄ってきたのは・・・
「コナツさん大丈夫ですか?
俺、手伝いますから頑張りましょう?」
「テイト・・・」
大きくため息をついたコナツを慰めるようにテイトがコナツをそう励ましてくれる。
なんていじらしい後輩だろうか。
テイトにだってアヤナミのベグライターとしての仕事は並大抵じゃないだろうに、人を手伝おうとする気持ちがあるなんて・・・
初めて出来た後輩に励まされ、くすぐったい気持ちになったコナツである。
「大丈夫だよ、テイトも忙しいし、それにあの人のコレはいつものことだし・・・」
「でも今日はもう終わりましたから。
それにコナツさんと仕事してると俺も色々勉強になるし。」
大丈夫ですよと笑ってコナツの机にある書類に自ら手をつけるテイト。
そんな一生懸命な後輩を見ながら自分も負けていられないと未決済の書類をやっつけるべく気合いを入れたコナツである。
帰ってきたらこってり搾ってやると机の下に隠した刺付きバッドに思いを馳せながら・・・
そんな日々ストレスと闘うヒュウガ少佐付きベグライター、コナツ曰く・・・
「テイトが来てくれて本当に、本当によかったですっ!!」
と涙ながらに語ってくれました。
そんなコナツを困らせる元凶、ヒュウガ少佐は今日も・・・
「ごめん、アヤたんごめんってば!」
「それが遺言か?」
今日も今日とて仕事をサボったことがばれ、アヤナミの執務室でお仕置きの真っ最中である。
まぁ自分からアヤナミの部屋に遊びに行ったのだから自業自得ともいうが・・・
「ちょ、何その後ろの凶器はっ!?」
口にするのもおぞましい拷問兵器を前にアヤナミは完全に目が座っている。
しかしさすがドS鬼畜の異名をとる参謀長官。
怒っている以上に楽しそうな表情でヒュウガに体罰を与えている。
今日こそ命の終わりか、そう感じた時・・・
「あ、アヤナミ様コーヒーです!」
ヒュウガのお仕置きが始まった頃から姿が見えないと思っていたアヤナミのベグライター、テイトがマグカップを手にいきなり割り込んできた。
「え?テイト君、何でコーヒー?」
命の危機が迫っていた所のテイトの行動はヒュウガにとってとてもありがたい、しかし何故コーヒーなのか?
いなくなったのはもしかしてコーヒーを煎れていたからだろうか?
思わずツッコミを入れずにはいられなかった。
そんな命の危機のヒュウガにテイトはと言うと。
「え?だって気持ちを落ち着ける効果かあるって・・・」
それはハーブティーではないのだろうか?
むしろコーヒーは活性効果の方が高いような気がする。
しかしマグカップを差し出されたアヤナミというと・・・
「そうか。」
ヒュウガに向けていた殺気やムチは何処に消えたのか、テイトの頭を少し撫でるとコーヒーを受け取り再び業務へと戻ってしまった。
その表情は先程よりも柔らかい気がする。
挙げ句・・・
「少しは上達したのか?」
「ちょ、ちょっとは美味しくなりました!
カツラギ大佐に毎日教えて頂いてるんですからっ!!」
などと微笑ましいというか、ごちそうさまと言うか・・・
とにかくヒュウガそっちのけで二人の世界が出来上がってしまっている。
少し趣は違うが彼女の失敗をからかう彼氏のもーかわいいやつ、みたいな空気だ(分かりにくいよ。)
そんな中でヒュウガは完全にアヤナミの意識から除外されているようだ。
先程までヒュウガに向けられていた凍えそうな氷点下の眼差しは今、春の陽気にまで温度を上げてテイトに向けられている。
今のうち、とばかりにそろーっと参謀長官室を後にするヒュウガにすらどうでもいいアヤナミの変化に多少驚きを感じつつ、身の危険が去ったと思いながら。
そうやって常に綱渡りの人生を歩くヒュウガ少佐曰く・・・
「よかった、アヤたんが優しくなってホントよかった。
テイト君が来てくれてよかった。」
常に自業自得なヒュウガだが、テイトの存在に涙して喜んだらしい。
そんなブラックホーク一同、クロユリ、ハルセ、ヒュウガ、コナツの全員が思った。
アヤナミ様(アヤたん)のベグライターがテイト=クラインでよかった・・・と。
「お母様、と言うより・・・」
そんな頑張る新人テイトとブラックホークの面々の姿を見たカツラギは・・・
「小さなお嫁さんですね。」
そうぽそりと溢して微笑ましく見守っていたという。
こうして参謀部直属部隊は念願の参謀長官のベグライターを手に入れたのであった。
テイトちゃんは長男の嫁(笑)
その場合
お母さん→カツラギ大佐
長男→アヤたん
次男→グラサン
三男→ハルセ
長男の嫁→テイトちゃん
次男の彼女(え?)→こなっちゃん
三男が働く保育園の園児(オイ)→クロユリ様
そんなカンジでアヤナミ様の周りでちまちま用事してたらかわいいです。
癒し系テイトちゃん。
DVDのおまけ4コマは最近色々神だと思う霧立でした。(2010/3/25 UP)