ミカ見て設定でゼロサム10月号の表紙ネタ
「今日はバルコニーに出てお昼にしましょうか?」
カツラギ大佐の穏やかな声が12時の参謀長官直属部隊執務室に響いた。
「お弁当だぁ!」
「まじで!?卵焼き俺のだからね!!」
綺麗に咲いた花と季節の野菜が生き生きと育つプランター。
執務室の横にあるカツラギが色々な植物を育てている広めのバルコニーに置かれたアンティークな机と椅子。
そこに真っ白なクロスを引いて、上には水筒と大きめの重箱。
いつもと違う昼食の雰囲気にカツラギに促されてバルコニーにやってきたメンバーは色めき立つ。
「いつもと違う感じでいいですよね。」
「そうですね。
そういえば・・・今日はテイトくんがお弁当でしたね。」
ご一緒にお作りになったのですね、とハルセがカツラギに尊敬の眼差しを向ける。
ハルセの言う通り、今年士官学校を卒業しこの参謀部に所属となったテイト=クラインは本日、特別任務だがなんだかでこの国で軍部と勢力を二分する教会へ出向していた。
しかしまぁ、任務と言えば聞こえはいいが、実際の内容は軍の新人と教会の司教見習いとでの合同演出と称した交流会みたいなものだ。
内容はほぼ秋のピクニックと言っても過言ではない、お弁当とおやつを持って帝国内でも名の知れた山に登って帰ってくるというそれ。
しかし内容はさておき、お互い見栄や面子などもあって交流会に出るよう指示されたのは卒業試験で優秀な成績の者ばかりだったが・・・
ちなみに我等参謀長官のベグライターのテイトは勿論、首席卒業である。
さらについでによく参謀部に遊びにくるテイトの親友ミカゲは次席だ。
「えぇ、ついでにミカゲ君の分も。
2人分もみなさんの分も作るのは一緒ですからね、気分が変わっていいかと思いまして。
あ、コナツ君すみませんねぇ。」
「いえ、もう蓋も空けますね。
ヒュウガ少佐、勝手に持って行っちゃ駄目ですからね。」
真面目なコナツはカツラギに言われるまでもなくお昼の用意も自ら進んでこなす。
横にいるヒュウガがいたずらをするのを咎めながら。
そしてコナツが重箱の蓋を持ち上げると・・・
「す、凄い。」
「わー、かわいい!!」
「カツラギ大佐細かっ」
綺麗に盛り付けられた重箱の中身に歓声が上がる。
彩りの綺麗なおかず、何種類も入ったおにぎり、そして・・・
「これは・・・ぶるぴゃ君ですか?」
ハルセが指差した、ぶるぴゃと呼ばれたピンク色のハムや桜色に色付けしたご飯のおにぎりで作ってある可愛らしい動物のキャラクター。
耳が長くて兎のような形だが、モデルになった彼?はれっきとしたヒュールングというドラゴンの子供だ。
親とはぐれて凍えていた所をテイトが連れ帰って保護という形でブラックホークが面倒をみているその子竜はすっかりテイトやメンバーに懐いて可愛らしい仕種を見せ立派な参謀部のマスコットである。
あいにくと今日はテイトとミカゲにくっついて一緒にピクニックへ行ってしまったが・・・
「かわいいー」
可愛らしいものが大好きなクロユリは小さな体を机に身を乗り上げる勢いで嬉しがっている。
しかし・・・
「ねぇ大佐、テイト君とミカゲ君のお弁当もこんな感じなの?」
「はい、そうですけど?」
わーお。
クロユリ以外の一同が心の中で今頃山頂でお弁当を広げているだろうテイトとミカゲを思った。
確かに可愛い、さすがカツラギ大佐と言ってもいい出来栄えだ。
しかし問題はそこではない。
「キャラ弁というそうですよ、今流行りらしいので頑張ってみました。
初めて作ったので多少おかしいかもしれませんが・・・」
ヒュウガ達の反応に不安になったらしいカツラギがそう弁解するが、この出来栄えは全く持って問題はない、むしろ初挑戦でこれかと拍手を送るべきだ。
問題はこれを食べるのが小さな子供や女の子ではなく士官学校を出たばかりの男の子だ。
しかも一人で食べるならいざ知らず、他の部署の新人や教会の司教見習いの同い年の男の子がいる中で食べるのだ。
ぶっちゃけかなり恥ずかしいぞ、これは・・・
しかしもうテイトとミカゲはお弁当を持って山の上、取り替える訳にはいかない。
ぶるぴゃの体毛が淡いピンク色をしているせいもあってピンク色の食材を多用しているから更に可愛らしさが際立つパステルカラーのお弁当に、二人のお弁当タイムが何事もなく終わるように祈るだけだった。
「昼食か・・・」
「あ、アヤたんやっと来たの〜?」
「アヤナミ様、早くご飯にしましょう!」
低いけれどよくとおる声の主に全員が声の主の到着を歓迎した。
この部署のトップであるアヤナミ参謀長官がようやく仕事を切のいい所で切り上げて昼食にやって来た事でようやく昼食が始められる。
部下達が先に食事を始めていたとしても怒る長官ではないが、やはりケジメは大切だし皆アヤナミを慕ってこの部署にいるのでなんでもアヤナミ優先なのである。
ハルセが流れるような動作で一番見晴らしの良い上座の席を引くと、自然な動作でアヤナミがそこに腰を下ろす。
他のメンバーも雑談を止めて席に着き、カツラギが重箱からおかずを取り分けてくれるのを待っていたのだけれど・・・
「「「!?」」」
お弁当を取り分けているカツラギとかわいいお弁当にテンションの上がっているクロユリ、そして滅多と表情を崩さないアヤナミ以外のメンバーは先程話題?に上がっていたテイトとミカゲ以上にこのキャラ弁が似合わない存在を見つけてしまった。
「はい、アヤナミ様。」
「すまんな。」
クールで冷酷でと軍部内で騒がれている参謀長官の前にピンク色のぶるぴゃ。
しかもお弁当に合わせてかカツラギがチョイスした食器というのがメラミンのお花のイラストが可愛らしいプリントの取り皿と持ち手に同じメラミンでプリントが付いたフォークのセット。
やばい、笑う色んな意味で。
しかし似合わなかろうが面白かろうが相手はあのアヤナミだ。
もし笑ったりなんかしたら・・・背中に悪寒が走るがやっぱり笑いそうだ。
しかも・・・
「はい、召し上がれ。」
「頂こう。」
タコさん食べたー!!
あのアヤナミがキャラ弁を食べた。
しかもお弁当用の丸っこいフォークで。
しかもタコさんウインナーから。
しかし遂に耐え切れず吹き出したヒュウガがアヤナミではなくカツラギに食事中に行儀が悪いと怒られ、正座したまま昼食を取らされる嵌めになったのでコナツもハルセも吹き出すのをぐっと我慢したのだった。
そうだ、テイトもミカゲも容姿は良い方だがまだ少年、男の子といって差し支えない年齢だ。
大の大人のキャラ弁などに比べたらずっと男の子の方が可愛いし似合ってるよ、うん。
「はい、ハルセ君とコナツ君の分ですよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「頂きます。」
「はい、召し上がれ。」
ちょっと恥ずかしいお弁当。
しかし食べると味は相変わらず抜群に良くて。
しかもアヤナミまでピンクのぶるぴゃを食べている光景に不思議な気持ちになりながら穏やかな昼食時を過ごすのだった。
テーマ
表紙のあのお弁当はカツラギさんが作ったんだろ?
え?カツラギさん以外誰が作るの(爆)
つーか、作れるの?
そしてテイトは軍部でミカゲと仲良しなんだよね?
今月号の表紙にたぎったので(中は未読)ミカ見て+拍手のぶるぴゃ設定で書いてみました。
しかし連載は両方ともここまで届いていないという(爆)
とりあえずこんな感じの設定でいつかハクレン様を出したいなぁと思ってます。
うん、いつかね(え!?)(2011/9/4 UP)