「まっさか顔を変えて向こうに入り込んでたとかさー
 俺、全然知らなかったんただけどー?」


誰もいない廊下の真ん中。
突然後ろからかけられた声に振り向く。


「おや、私と貴方は初めて会う筈ですが?
 ヒュウガ少佐。」


対する男はいきなり表れた不躾な男の質問に穏やかに微笑みを返す。


「まったまたー。
 顔は全然違うけど、その胡散臭い笑顔とかそのままじゃん。」


俺がわからないと思った?なんてけらけらと笑う男に貴方こそ、けれどそう言いかけてやめた。
ヒュウガと呼ばれた男のサングラスの奥、一見軽く見える笑顔を貼り付けた顔。
胡散臭いのはどちらか。


「ちょっと変えたとか言ってたけど、よっぽど変えたよね!
 どんなけ肉とかけずったの?痛くなかったの?」


ねぇねぇと似合いもしないのに乗り出すように聞いてくるサングラスの男。
けれど男の質問に答えてやる義理などない。


「さぁ、知りませんが?」


顔の痛みなど気にはならなかった。
あの方の目的の為ならば。
痛みなどよりずっとずっと。


「よくやるよねー。
 ・・・どんなに頑張っても、アヤたんの一番は変わらないのにね?」


その言葉に一瞬、男の纏う穏やかな空気が張り詰めた。
けれどほんの一瞬。
穏やかに微笑みを浮かべた顔はそのままに確固たる答えを返す。


「愚問ですね。
 あの方の目的が何であれ、私の一番はあの方ですから。」


それが変わらない事実。
いたずらっぽく笑うこの男とて、そうであるからここにいるのだろうに。


「まぁそりゃそうなんだけどさー。」


問い掛けに少しの反応はあったものの、サングラスの奥に予想したような反応はなく、男は少し拗ねたようにだけ口を尖らせた。


「でも気に食わないものは食わないかなー?」


そう思わない?などと聞き返されても返す言葉などなかった。
彼の人の目的が何であれ、自分がする事は変わることはないと核心しているから。
けれど目の前の男は・・・


「俺ならその子を殺しちゃうかな? 
 だって面白くないじゃん、俺だって大好きなのにさ。」


誰が、とは言わない。
言わずとも理解できる。
忠誠を捧げるただ一人の人。
自分が彼を一番分かっているのだと。
だからこそ・・・


「そうなれば貴方は真っ先にあの方に八つ裂きにされるでしょうね?
 大好きな、あの方に。」


へらへらと笑う相手に少しばかりの厭味をこめる。
けれど軽薄な男はそれが楽しいのか、唇に浮かべた笑みを更に濃くしただけで・・・


「べっつにーいいよー?
 そうなったらアヤたんが一瞬でも一番に俺を見てくれるだろうしね☆」


それが憎悪であろうとも。
彼の人の思考を全て自分に向けられるのなら。
この男なら確かにやりかねないだろう。
けれど・・・


「まぁその前に私が八つ裂きにしてしまうかも知れませんが・・・」


微笑みを浮かべた顔はそのままに、凄まじい殺意を浮かべサングラスの瞳を見つめ返す。
あの方の目的を妨げるなら容赦はしない、と。


「かいがいしいよねー
 あーっとカツラギ大佐だっけ?」


やはり、胡散臭いのはどちらか。
何も知らないふりをしておきながら、常に周囲を気にしているのだろう。
ただ一人の為に。
カツラギ、と呼ばれた男もそれは変わらないのだが・・・


「ま、俺を殺せるもんなら殺してみなよ☆
 そこらの奴に殺されてやる気なんてないけどさ。」


明るい口調は変わらないが、サングラスの奥に見える瞳には確かな殺気が宿る。
けれどそれも一瞬。
一見直ぐに人好きのする笑顔に戻り、楽しそうに微笑みかける。


「まぁ、そんなことになったらの話だし?
 とりあえずこれからよろしくね、アヤたんの為に。」


「こちらこそよろしくお願いしますね、ヒュウガ少佐?
 ・・・アヤナミ様の為に。」







交わした視線も


交わした言葉も




すべては愛する王の為に

















カツ→アヤでヒュウ→アヤで、でも大元はアヤ(フェア)→イヴ
カツラギさんのラブっぷりがヤバすぎです。
ある意味アヤたん関連カプで一番激しそう、色々と(笑)

ヒュウガとカツラギさん(偽)のスタンスの違いとか、利害一致の関係みたいなものを書きたかったのですが、色々崩壊。
とりあえず、語彙力と文章力と表現力が欲しい今日この頃(って全部じゃねぇか!!)(2010/10/1 ブログUP)(2010/10/19 UP)